中国の4月の乗用車販売は前年比、前月比ともに3割減~購入支援策必要との指摘

中国乗用車市場信息聯席会(China Passenger Cars Association: CPCA)が5月10日に発表した統計では、4月の乗用車販売が過去最大の落ち込みを示したことが明らかになった。上海をはじめとする新型コロナウィルス感染拡大に伴う防疫措置の強化が響いた。CPCAは、今年通年の乗用車販売が前年と同水準を維持するには自動車消費刺激策を強化する必要があると指摘している。

4月の乗用車販売台数は104万2,000台。前年同月比で35.5%減、前月比で34%減となり、ともに過去最大の減少率となった。4月は29省・直轄市でコロナ感染者(無症状含む)が確認され、上海、吉林、山東、広東、河北などのディーラーが大きな影響を受けた。中国汽車流通協会によると、足元では中国のディーラーの2割以上が営業を停止し、自動車販売に影響が及んでいるという。

■生産、卸売は4割減

自動車メーカーの生産、卸売も減少している。4月の乗用車生産台数は96万9,000台で、前年同月比で41.1%減、前月比で41.1%減。乗用車卸売販売台数は94万6,000台で、前年同月比で43%減、前月比で47.8%減となっている。特に、コロナの影響を受けた上海と吉林は全国の自動車生産の約11%を占めるエリア。4月の上海エリアの主力自動車メーカー5社の生産台数は前月比で75%減、吉林・長春エリアの合弁主力自動車メーカーの生産は54%減、その他エリアの自動車生産は38%減と、上海、吉利の生産減が鮮明になっている。

■在庫も増加

販売が低迷する中、在庫も増加している。4月のメーカー在庫は前月比で約2万台増。「自動車ディーラー在庫警戒指数」は66.4で、前年同月比で10ポイント、前月比で2.8ポイントそれぞれ上昇している。コロナで新規納入が遅れているうえ、ガソリン価格の上昇などが消費者の購買意欲を低下させ、在庫増につながっているとみられている。

■NEV乗用車の販売は前年同月比で増加も、前月比で減少

CPACによると、4月の新エネルギー乗用車の販売台数は28万2,000台。前年同月比では78.4%増加したものの、前月比では36.5%減少した。メーカー別では、BYD、奇瑞汽車、広州汽車が好調だった半面、小鵬、理想汽車、哪吒、零跑、蔚來(NIO)、威馬といった新興メーカーは苦戦。特に、小鵬、理想、NIOは前月比の落ち込みが大きかった。

ただ、1~4月の累計では135万2,000台で、前年同期比で128%増加している。

■5月の乗用車販売は引き続きマイナスもNEVは前月比で高い伸びの可能性

5月の乗用車販売について、CPACは「依然として回復に圧力があるうえ、北京や鄭州などでコロナ感染が確認され防疫措置が強化されたことで、5月の販売台数も前年同月比で減少が続く」とみている。一方、NEVに関しては、ガソリン価格の上昇を受け、NEVを選択する消費者が増えており、「前月比では高い伸びを示す」と予想している。

22年通年の予想では、1~4月の乗用車販売台数が前年同月比で11.9%減少している点を踏まえると、前年と同水準を維持するには5月から12月にかけて毎月、前年同月を10万台以上上回る販売が必要という。CPACは、「足元のコロナの状況が徐々に改善する中、過度に悲観する必要はない」としながらも、消費促進を強化する必要があると指摘。具体的には、まずは結婚時の自動車購入免税や消費券配布といった自動車消費を直接刺激する策を実施し、そのうえで自動車購入費の個人所得税控除などの税制政策が必要との見方を示している。

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