映画『西湖畔に生きる』と茶文化のひとときーーイベント【シネマde中国茶】中国文化センターで開催

2024年9月に日本公開されたグー・シャオガン監督の最新作『西湖畔に生きる』は、“茶”と深い関わりを持つ作品である。原題の『草木人間』は、茶の字を構成する「草・人・木」に由来しており、茶と人間の関わりを象徴している。劇中には唐代の餅茶や宋代の泡茶など歴史茶が登場し、物語の象徴的な要素として描かれている。

この作品を題材としたイベント【シネマde中国茶】「映画の中の中国歴史茶を飲む」が、2025年9月25日、港区虎ノ門の中国文化センターで開催された。主催は中国茶ユニット tea-Y2K.Q(ティーユニーク)。会場には約30名の参加者が集まり、映画と中国茶文化が融合する特別な時間が展開された。

イベントでは、映画字幕翻訳を担当した 磯尚太郎氏と、中国茶インストラクター 河村圭位子氏による専門トークも実施された。冒頭では映画の原題の意味が解説され、スクリーンで映画の一部を鑑賞しながら、お茶愛好家ならではの着眼点から映画を読み解く視点が紹介された。さらに、撮影時の裏話も披露され、参加者の関心を集めた。

また、映画に登場する茶の描写や文化的背景も解説され、参加者は作中の茶が象徴する意味や茶器の使い方に込められた意図を理解することができた。

解説の最中には、高級茶藝技師・山本由美子氏による二種類の点茶の実演が行われた。茶器の配置や意匠は映画のシーンを模しており、スクリーン映像と会場の茶席が連動する趣向となった。

提供されたのは、杭州・西湖区産の「西湖龍井(龍井43号)」のグラス茶と、福建省晋江市産の老白茶を用いた「宋代七湯点茶粉」。

いずれも映画に登場する茶を連想させる形で提供され 、参加者はそれぞれの茶の香味や淹れ方の違いを実際に体験しながら、映画世界と歴史茶文化の両方を楽しむことができた。

映像と解説、実演と試飲を組み合わせた本イベントは、映画と茶文化を同時に体験できる企画として実施され、参加者に貴重な体験の場を提供した。映画の象徴性と歴史茶の実体験が融合することで、単なる上映会や試飲会を超えた文化体験となった。

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