服の中で遊ぶ唐子たち:伝統図柄「百子図」を用いた衣装【百子衣】

*百子図について

百子図とは、無数の子どもたちが遊びに興じる様子を描いた伝統的な図柄。中国の吉祥文化において、子孫繁栄を象徴するものとされています。絵画や陶磁器、刺繍などさまざまな工芸品に用いられ、特に衣服に施されたものは「百子衣(ひゃくしい)」と呼ばれます。


百子衣(ひゃくしい)

百子衣には、多くの場合、刺繍によって「嬰戯図案」(唐子たちが遊ぶ様子を描いた図柄)が施されています。デザインのバリエーションは、四角い襟の前開き短衣や、丸襟の長袍などがあります。衣服には多くの子どもたちが遊ぶ姿が描かれており、古代の子どもたちの生活風景が全面的かつ直観的に表現されています。また、百子衣に刺繍された子どもたちは、二人から六人ほどのグループで一つの場面を構成しています。例えば、ある子どもは両手で顔を覆ってかくれんぼをしていたり、魚を捕ったり、蹴鞠(けまり)をしたり、鳥かごを取り合ったりする姿が描かれています。その表情は生き生きとしており、動作も実にリアルに表現されています。

色彩

百子衣は、主に祝いの衣装として着用され、その配色には独自の工夫が凝らされています。朱赤を基調とし、嬰戯図案には淡い青、月白(げっぱく)、茶緑(ちゃみどり)、藍色、琥珀色、青竹色などのさまざまな色調が使われ、図柄に生き生きとした魅力を与えています。

文様の題材:竹馬遊び

竹馬遊びは中国の古くからある子どもの遊びの一つです。竹の棒を馬に見立て、股の間に挟み、一方の手で棒の先端を握り、もう一方の端を地面に引きずりながら走り回る遊びです。竹馬に関する記録は、『後漢書』郭伋伝に「始めて地方を巡視し、西河美稷に至ると、数百人の子どもたちがそれぞれ竹馬に乗り、道中で迎えて礼をした」とあり、これが「竹馬」という言葉の最も古い記述とされています。これにより、東漢時代にはすでに竹馬遊びが存在していたことが分かります。

竹馬遊びは、子どもたちが大人の生活を模倣し、想像する遊びの一つです。竹を馬に見立て、戦士が戦場へ向かう様子を真似ることで、「仲間を指揮し、気概を示す」という壮志や豪胆さを表現しています。また、「郎騎竹馬來,遶牀弄青梅(郎が竹馬に乗り、寝台の周りで青梅を弄ぶ)」という、李白の『長干行』の詩句のように、子どもたちが無邪気に遊ぶ情景を表しています。さらに、中国語で「竹馬之好」「竹馬之交」など、幼いころからの親友を表す成語もあり、民間劇「竹馬戯」も広く親しまれています。

江蘇人民出版社『天上取様人間織ー≪玉楼春≫里的服飾之美ー』より一部引用(筆者翻訳)

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