中国、「基本高齢者サービス」の体制構築推進へ~中央が指針

中国共産党中央委員会弁公室よび国務院弁公室はこのほど、「基本高齢者サービス体制の構築推進に関する意見」(以下、「意見」)を発表した。基本高齢者サービス体制の構築に向けた指針を示した中央の文書としては初めてのもの。「基本高齢者サービス」の主な内容や課題、基本養老サービスにおける政府、社会、市場及び家庭の責任の位置づけを明確にしており、「意見」の発表は、中国の高齢者サービスの健全で秩序的な発展に向けた一つのマイルストーンになるとみられている。

■「意見」公表の背景
  中国では人口の高齢化が急速に進展。2022年末時点の60歳以上の高齢者人口は2億8000万人を超え、国の総人口の19.8%を占めた。うち65歳以上は2億1000万人で、総人口の14.9%を占めている状況だ。
 一方、各種高齢者向け施設・機関は約38万1,000カ所。うち社区養老サービス・機関・施設は34万1,000カ所で、ベッド数は822万3,000床となっている。
 高齢化の進展に伴い、ここ数年は地方政府が各種施策を打ち出している。江蘇省、浙江省などは、高齢者向け補助金やサービスチームの組成、高齢者サービス施設の整備計画、財政補助などに関して具体的な基準を制定。また黒龍江省、安徽省、江西省は、既存の高齢者サービス部門合同会議を基盤に、政府レベルの高齢者サービス業務推進体制を整備し、各部門による連携を強化している。
 ただ、高齢者サービス全体としてはまだ不足しており、発展も不均衡。基本的な高齢者向けサービスの拡大が必要になっている中、今回の意見が発表された。

■2025年までに基本高齢者サービス制度の体制を基本的に構築
  高齢者サービスは、「基本高齢者サービス」と「非基本高齢者サービス」に分けられ、政府が担うのは前者の「基本高齢者サービス」。この点を踏まえ、「意見」では、2025年までに基本高齢者サービス制度の体制を基本的に構築するとの目標を提示した。
 「意見」ではまた、5つの重要課題を列挙。その一つに「基本高齢者サービスリストの作成と実施」を挙げている。各地の関連部門は「意見」と同時に発表された「国家基本高齢者サービスリスト」を厳格に実施し、省政府はそれぞれの地域における基本高齢者サービスの具体的な実施計画やサービスリストを作成・公表するよう求めている。
 「国家基本高齢者サービスリスト」は、物資援助、介護サービス、ケアサービスの3つのカテゴリーで区分。その下に16のサービス項目があり、各項目のサービス対象と内容がそれぞれ明記されている。サービス対象は「65歳以上」、「80歳以上」、「特に困難な状況にある高齢者」に区分。サービス項目は、「従業員基本養老保険」、「都市・農村住民基本養老保険」、「養老サービス補助金」、「家の老朽化改造」などが含まれ、それぞれのサービス内容の概要が記されている。

■基本高齢者サービスを補うサービスの必要性も
 基本高齢者サービスを政府が担うのに対し、「非基本高齢者サービス」は主に民間が担うもの。非基本高齢者サービスは、基本高齢者サービスを補完するもので、より広範で多角的な老人介護サービス体系の構築を後押しするものと位置づけられている。
 高齢化は短期のトレンドでなく、中長期の趨勢だけに民間の参入余地は今後も拡大する見込み。調査会社によると、2020年の中国の高齢者人口の消費総額は7兆100億元。高齢者市場の規模は5兆4千億元だったが、2050年には、高齢者人口の消費総額は61兆2600億元に、高齢者市場の規模は48兆5200億元に膨らむと予想されている。
 ただ、高齢者サービス関連企業は設立から間もない企業が大半を占めている。今年5月時点での関連企業数は約30万7,000社。うち、設立から10年以上の企業は7.3%にすぎず、設立から5年未満の企業が53.8%を占めているという。
 衣料、食料、住宅・交通、医療・教育など高齢者サービスは多岐にわたり、介護ロボットなど技術を駆使した製品が求められる一方、企業としての収益性も考慮する必要がある高齢者サービス。高齢者サービスを担う企業の育成も一つの課題といえそうだ。

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