中国の中古車市場、規制緩和で取引活性化に期待

中国・国務院が6月22日に開催した常務会議で、小型非営業用中古車の取引規制を緩和する方針を示した。中国ではこれまで、流通規制が中古車取引を抑制してきた要因の一つとされてきたが、規制緩和により、取引の利便性が向上し、流通が促進されるとともに、中古車市場の活性化で新規の買い替え需要も促し、自動車市場全体の拡大につながると期待されている。

会議で決まった規制緩和の内容は(1)8月1日から地域ごとの中古車の転入制限を全面的に撤廃すること、(2)10月1日から自動車販売企業が移転登記を申請した際に、臨時ナンバープレートを発給すること――の2点だ。

■中古車の地域ごとの転入制限撤廃

(1)の地域ごとの転入制限については、これまで地域を跨いだ取引に制限が設けられていた。通常は一線都市、二線都市と呼ばれる都市部のほうが、中古車の車両状態や価格、数量などにおいて優位にあるため、中古車は都市部から地方に流れるのが一般的だ。だが、流入する地方側は他の地域から中古車が大量に流入することで値崩れを懸念。自動車市場を保護したい地方政府は転入制限を設け、関連基準を満たさない外地の中古車に対してはナンバープレートを発給してこなかった。

このような状況下、一線都市、二線都市は良質な車の保有者が多いものの、中古車を売り出すのが難しい状況となっていた。中古車を売りに出せない状況は、買い替え需要を喚起しにくい構造につながっていた。

一方、中古車の大量流入を制限している三線、四線、五線都市は、中古車の需要はある一方、良質な中古車の供給が不足。需給のミスマッチが起こり、結果的に消費者の自動車購入意欲を削いでいた。

■臨時ナンバープレート発給で中古車取引を秩序化

(2)の移転登記に関しては、中古車取引は使用歴や車検の有効残存期間が一台一台異なるため、「商品」に属さず、買い取り、販売などの各段階でそれぞれ資産所有権移転の名義変更、納税を行わなければならず、流通コストを押し上げてきた。規制緩和後は、中古車販売企業は車両買い入れ後、名義変更をする必要がなくなる見込みで、関連当局が臨時ナンバープレートを発給後、車両は直接市場で取引できるようになるとみられている。

これまで中古車取引のナンバープレートの発給制限は、取引を大きく制約し、円滑な流通を阻害。地域間の需要と供給のミスマッチを引き起こし、真の意味での全国市場が形成されていなかった。

■自動車保有者の増加で中古車市場の活性化必要に

しかし、中国の自動車消費市場は変化。これまでは新規購入が中心だったが、自動車保有者の増加に伴い、自動車消費のけん引役が1台目購入から、中古車売買や買い替えにシフトするのは必然の流れ。こうした中、中古車市場の活性化は大きな課題となっていた。

こうした背景の下、中古車の取引規制緩和は、中古車流通の目詰まりを解消することで、異なる地域間での取引を促し、買い替え需要を喚起。中古車取引の拡大につながるとともに、新車買い替えも促し、中国の自動車市場全体の拡大につながると期待されている。

2021年に中国国内で取引された中古車は前年比22.62%増の1758.51万台。22年は規制緩和を追い風に、20%以上の増加率を維持するとの予想も出ている。

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