金庸の生誕100周年を記念して中国国内で漫画の巡回展開催中
武侠小説の大家、金庸は今年生誕100周年を迎えました。それを記念して漫画を描き、1年にわたる巡回展を行っている中国の若き漫画家がいます。今年3月、「金庸生誕100周年・百侠念金庸漫画特展」が浙江省嘉興市文化館で開催されました。
本展では金庸の武侠小説の登場人物を原型とした103点の漫画作品が展示されました。描いたのは、2023年より浙江省漫画家協会常務理事であり、嘉興市美術協会漫画芸術委員会副主任の李沢峰氏。なんと本展を皮切りに、約1ヶ月間の展覧を1年かけて9カ所巡回し、もう2カ所を残すばかりとなっています。そのうち海寧県袁花鎮の金庸故居では2ヶ月にわたり展示されました。
漫画によるオマージュ
金庸は1924年3月10日、浙江省海寧県袁花鎮で生まれ、嘉興市で学びました。江南地方は、金庸の武侠の世界に深く刻まれた郷愁の源でもあります。
嘉興市出身の李沢峰氏は、金庸の生誕100周年を記念し、小説の登場人物100人を漫画で描くことを決意しました。このアイデアは、2023年上半期に『風刺とユーモア』誌での張無忌を題材にした挿絵から着想を得たものです。1年をかけて、彼は134人の武侠人物を描き、その中から103点の作品を展覧会に出展しました。
「金庸先生の武侠作品は、私の青春時代を共に過ごしてくれただけでなく、私の心に武侠の種を植え付けてくれました。私の絵筆を通じて、より多くの人が金庸先生が描き出した江湖の世界を感じ、その正義と勇気、忠誠を感じ取ってほしいと切に願います」と李氏は語りました。制作の過程で、李氏はひとりひとりのキャラクターが金庸先生の原作の精神と一致するよう努め、すべての人物像に独自の性格を持たせることに注力しました。「少年期から中年期に至るまで、金庸武侠小説の『偉大な義侠者は国と民のために義を成す』という思想をますます深く感じるようになりました。漫画という世界共通の言語を用いて描いた百人の侠客が、この精神を世界の隅々にまで広げ、輝かせることを願っています」
金庸の武侠小説の世界を再現
嘉興市文連党組書記であり主席である姚建新氏は、金庸の故郷出身の若手漫画家として、李氏は金庸先生の作品を深く研究し、キャラクターを読み解き、その精神を理解し、生誕100周年というテーマに基づいて金庸先生が描いた広大で複雑な武侠の世界を表現したと評価しました。「私たちは金庸先生の武侠の世界に人間の成長を感じることができ、李氏の作品に侠の精神を感じることができます」と姚氏は言います。
また中国美術家協会漫画芸術委員会主任の陳黎青氏は、絵と文は常に芸術の最高のパートナーであると述べ、次のように李氏を絶賛しました。若手漫画家である李氏は、金庸の小説に登場する百人の侠客を漫画という形で表現し、心に中にある侠客像を生き生きとした画面と躍動感あふれる芸術的イメージとして具現化しました。これらの作品は、金庸武侠の奥深さを再現し、解釈しています。李氏の漫画作品は驚きを与えるだけでなく、漫画という芸術の親しみやすさと伝わりやすさを感じさせます。その作品はより多くの人々、特に若い世代に金庸の武侠文化を直感的に感じさせ、その魅力を現代的な芸術表現で伝えています。
※本記事は『風刺とユーモア』誌の記事を元にしています。