制度型開放にはどのような新しいすう勢があるのか

 北京22日発中国新聞社電は「中国の制度型開放にはどのような新しいすう勢があるのか」と題する次のような記事を配信した。


 2018年末の中央経済工作会議で「制度型開放」が提起されてからすでに3年余りがたった。その間、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が妥結するとともに各国で相次いで発効し、中国は環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)への加入を申請している。中国の対外開放に対する構想と視野で、いくつかの重大な変化が発生している。


 こうした変化の重要な意義は、これまでの商品と要素の移動を中核とすることから、ルールのベンチマーキング・改正と相互参照・普及・互換性・リンク付けを中核とすることへの転換である。前者は「形而下(けいじか)」を重視しているのに対し、後者は「形而上(けいじじょう)」を重視するとともに、国内のいくつかの分野の改革と相互に因果関係にあり、開放の高度化と再編である。そのため中国新聞社の「東西問」コーナーは中国国家発展改革委員会対外経済研究所の葉輔靖研究員を取材した。


 ◇制度型の差異はすでに重要な制約要因になっている
 問:中国の開放の進化のプロセスは、どのようにして商品・要素移動型開放から現在の制度型開放へと向かったのか。その背後にはどんなロジックがあるのか。


 答:背後のロジックは二つある。一つは両両相まって相互に促進し、協調して推進する必要があり、長期にわたって単騎で突進することはできないということ。もう一つは時代が変わり、発展の条件とニーズも変わったため、重点もある程度変わったということだ。


 商品・要素移動型開放とは、輸出と輸入であり、資本およびその他の要素の出入りの開放であって、そこで重視されるのは商品要素そのものであり、開放の物質的な面である。


 制度型開放とはルールと制度のレベルにフォーカスすることであり、簡単に言えば世界の先進的な経済貿易ルールに主体的にベンチマーキング・ドッキングし、国内の不合理で国際ルールに合わない法律法規を整理する基礎の上で、国際的な貿易・投資のルールとリンクした規範的で透明性の高い基本的制度体系と監督管理モデルを形成することだ。これは実際には双方向の接続であり、われわれは引き続き世界の先進的で高基準なルールを受け入れるだけでなく、自身の優れたルールを世界に広め、世界での検証を受け、これを国際ルールにしていく。

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 改革の当初、商品・要素移動型開放には制度型開放が付随していた。大きな方面では計画経済から市場経済への転換があり、小さな方面では関税・対外貿易経営権・外資利用・知的財産権の保護などの制度の国際ルールとの接続があった。


 世界貿易機関(WTO)加盟の前後に、われわれは制度型開放のペースを加速させた。例えば、渉外経済法制化建設の方面で、中国は非差別の原則、自由貿易の原則、公平な競争の原則に基づき、法律法規と政府機関の規定・制度を集中的に整理し、貿易促進・貿易救済・外資利用などの渉外経済法律体系を整備した。関税の一層の引き下げと非関税措置の削減の方面では、中国は約束に基づき、2005年1月から424の税目の産品に対する輸入割当枠、輸入許可証、特定入札などの非関税措置を撤廃し、国際ルールとWTOのルールに基づいて、生命の安全を守り、環境を保護するために実施される輸入規制品に対するライセンス管理だけを保留した。外資参入の方面では、より多くの分野で外資の株式支配または単独資本経営を許可し、より開放され、便利で公平な投資環境を構築した。


 商品・要素移動型開放から制度型開放への転換を後押しすることは、商品・要素移動型開放が重要ではなくなったことを意味するものではなく、開放のモデルと戦略の転換と見直しを強調しているだけである。商品・要素移動型開放は依然として中国の開放の立脚点ならびに基本的なホームであり、依然として経済グローバル化の主要な内容と基礎である。制度型開放は商品・要素移動型開放に貢献するものであり、商品・要素移動型開放の転換と高度化を後押しするものである。制度型開放のための制度型開放であってはならない。


 かなり長い間、中国の対外開放の重点は「形而下」であり、これは当時の発展の要請に適応したものだった。現在、情勢に大きな変化が発生している。第一に、国力が高まり、資金不足など過去の制約要因がすでになくなったか大幅に緩和された。第二に、商品要素の国境を越えた双方向の移動がすでに常態化し、すでに矛盾の主要な方面ではなくなった。第三に、商品・要素型開放と制度型開放の不釣り合い問題が日ましに際立ってきた。第四に、制度的差異が商品・要素型開放発展の重要な制約要因になっている。正常な経済貿易交流がしばしばルール・制度的差異のために妨害され、特に国内規制・ルール的差異に妨害されており、経済貿易摩擦・衝突、貿易戦争があちこちで発生している。第五に、世界的に新しい産業、新しい業態、新しい貿易投資モデルが絶えず台頭しているにもかかわらず、しかるべき経済貿易のルールには真空地帯と断片化のすう勢が存在するため、中国はこれに積極的に介入し、制高点を奪い、新しいルールの創始者・貢献者・協調者・けん引者になるべきだ。

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 ◇開放と改革のインタラクションはより複雑に
 問:制度型開放と国内の改革にはどのようなインタラクティブな関係があるのか。商品・要素型開放の段階と比べてどのような違いがあるのか。


 答:開放によって改革を促進することはわれわれの重要な経験の一つだ。
 高い基準の国際経済貿易ルールへのベンチマーキングの問題は、それ自体が改革の深水区であり、改革の「硬い骨」〈困難な部分〉である。制度型開放で最もメインとなるのは国有企業のルール、産業政策と補助金のルール、デジタル貿易のルール、労働のルール、競争の中立性に関するルール、知的財産権と市場経済のリードなどのルールである。これらの方面で、中国の現行のルールといわゆる高基準の国際経済貿易ルールとの差異は比較的大きく、そのなかには制度的レッドラインまたは最低ラインに抵触するもの、先進経済体〈エコノミー〉に追いつくための重要な手がかり、国の安全保障にかかわるものがあるため、改革の難度が非常に大きい。
 例えば補助金のルールだ。中国のルールと国際的なルールの発展のすう勢には巨大な差異があり、それは主に特別補助金に見られる。第一に、補助金を禁止する主体が絶えず拡大している。第二に、補助金を禁止する分野が広がり、モノ貿易関連の分野からサービス貿易と対外投資の分野へと拡大している。第三に、補助金の禁止方式が拡大し、国有企業間の担保も禁止されている。第四に、補助金の透明性引き上げの要求と通知の義務だ。


 ここから制度型開放と改革のインタラクティブな関係が見て取れる。商品・要素型開放の時期との違いは以下のようなものである。第一に、制度型開放はそれ自体が改革であり、両者は一つである。第二に、両者のインタラクションはより困難で複雑である。第三に、要素移動型開放と発展に対する促進効果に不確実性があり、改革の成否がこうした改革によって採用される道筋とそれによって引き起こされる社会的動揺によって決められる。

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 ◇「制度型開放」では戦略に注意しなければならない
 問:今後制度型開放を後押しするうえで、主にどういった問題を解決する必要があるのか。


 答:第一に、分類して施策する。追いかけている分野、並走している分野、リードしている分野、混とんとした新興の分野でそれぞれ異なる方針と戦略を採用する必要がある。追いかけている分野では、主にまじめに学習し、謙虚に参照する。並走している分野では、自身の状況に基づいて長所を取り入れ、短所を補う。リードしている分野では、自らが中心となって中国のルールを国際ルールに引き上げる。新興の分野では、積極的に介入し、機先を制し、制高点を奪い、発言権とリーダーシップを強化する。


 第二に、引き続きグローバル化のポジティブな成果を断固として守り、先進国が「五つの背離」のすう勢を逆転させるよう督促する。中国の対外開放が順調に進むかどうかは、かなりの程度グローバル化の大勢が引き続き前に向かって突き進むかどうかにかかっており、外部環境が有利かどうかにかかっている。現在先進国では「五つの背離」のすう勢が日ましに深刻化している。「五つの背離」とは、第一に伝統的な実務的な姿勢とやり方からの背離であり、経済貿易関係の中に過度に価値観・イデオロギー要因を盛り込み、政治と国家の安全保障が一般化し過激化している。第二に、自身の優位性と自由競争の信条からの背離であり、「底辺への競争」(RACE TO THE BOTTOM)が行われている。第三に、構造改革の既定の路線からの背離であり、自己革新、自省、発展の障害の排除を怠り、他者の発展に対する制限を強化している。第四に、非差別の原則からの背離であり、国内市場で公然と中国資本企業に対する差別的な規定を制定している。第五に、中国の内政問題に対する慎重な言動の伝統からの背離であり、日ましに2国間関係に直接関係しない中国の経済内政問題に口出しするとともに、これをネガティブに読み解くようになっている。


 第三に、国際経済貿易ルールとのドッキングにおいて「自主的」であるためには戦略に注意しなければならない。主に自国にだけかかわる事柄では、なにを開放するか、どの程度開放するか、開放のペース、開放の順番を国情と自身の発展のニーズに基づいて、自主的に把握することができる。しかし2国間、多国間の利益にかかわる共同のゲームルールは、皆が共同で受け入れることができるものにしなければならず、各国の訴えを取り入れ、利益の均衡に注意しなければならない。


 第四に、国際経済貿易ルール変革の大きなすう勢に一段と積極的に適応する。現段階では引き続きハイレベルな国際経済貿易ルールとのベンチマーキングを進めるべきだ。なぜならこうしたルールはそれ自身に先進性・科学性・合理性・有用性があり、なおかつ実践による長い検証を経て、国際ルールとなっているからである。またこれはわれわれが影響を与え、修正を行うための有効な方途でもある。


 第五に、制度型開放のいくつかの中核的な議題に正しく向き合う。例えば国有企業の議題、補助金と産業政策の議題、労働ルールの議題、デジタル貿易の議題などだ。開放と安全のバランス、高い基準のルールと現実的な漸進のバランスをしっかりつかまなければならない。実際のところ中国・欧州連合(EU)包括的投資協定とCPTPPへの加入申請はわれわれがこれらの敏感な問題を処理するための優れた道筋案内と方向標識をもたらしている。


 第六に、対外開放における安全保障問題を弁証法的かつ正確にとらえ、市場参入と内容の監督管理を適切に区分しなければならない。(翻訳:中国通信=東京)
                     

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