NIO、21年の売上急増~値上げは当面なし
中国のEVメーカー、蔚来汽車(NIO)がこのほど発表した2021年12月期決算によると、21年は売上高が大幅な伸びを示した。また、足下で原材料価格上昇による新エネルギー車の値上げが相次ぐが、同社は当面値上げする意向はないとの方針を示した。 ■新車納入の急増が売り上げ押し上げ 21年は新車納車台数の増加を背景に、売上高は前年比122.3%増の361億4000万人民元に拡大。新車納入台数は9万1400台で、前年の4万3700台から109.1%増となっている。 四半期ベースでは、21年第4四半期の新車納車台数は前年同期比44%増の2万5000台。22年第1四半期について会社側は、新車納入台数が2万5000~2万6000台(前年同期比24~29%増)、売上高が96億3100万~99億8700万人民元(同20~25%増)との予想を示している。 ■リチウム価格上昇も「需要と供給に大きな乖離なし」 リチウムなどの原材料価格の高騰を背景に、中国ではテスラや三鵬汽車、小鵬汽車、理想汽車など10社以上が新エネルギー車の価格引き上げを発表しているが、NIOは当面、値上げはしない考え。同社創業者でCEOの李斌氏は、足下の炭酸リチウムの価格上昇について、「投機的な要素が強く、需要と供給に大きな乖離はない」と指摘。今後は「市場価格や原材料価格の推移を見極めつつ、価格戦略を判断していきたい」という。 ■研究開発費、22年は倍増へ 21年の研究開発費は前年同期比84.6%増の45億9100万人民元に拡大した。22年の研究開発費も大幅に増やす計画で、21年の約2倍の92億人民元を見込んでいる。また、研究開発チームは22年末までに9000人に拡充するとの見通しを示した。今後数年は重要技術に投資を拡大する意向で、特に自動運転技術、エンジン電池関連の重要分野への投資を拡大していく予定。李斌氏は、「コア技術への研究開発投資は、当社の技術と製品の持続的な競争力を強化するだけでなく、長期的にみて、収益性を高めることができる」と、研究開発投資への有効性を強調している。 ■欧州事業拡大へ NIOは海外でも事業拡大を加速する方針を示している。21年にノルウェーで事業を開始したが、李斌氏によると、22年にはドイツ、オランダ、スウェーデン、デンマークでも製品が正式に投入される予定。準備作業は順調に進んでいるという。