中国の6月の自動車市場は消費促進策が功を奏して好調に転じた。中国汽車工業協会の発表によると、6月の自動車生産台数は前年同月比28.2%増の249万9,000台、販売台数は同23.8%増の250万2,000台。うち、新エネルギー車(NEV)の生産、販売は過去最高を記録し、6月の生産台数は59万台を記録。販売台数は59.6万台で、前年同月比で130%増と大幅な伸びを示した。 ■上半期は前年比で減少、自動車市場はU字型の動き 1~6月累計ベース(上半期)の自動車生産台数、販売台数は累計でそれぞれ1,211万7,000台、1,205万7,000台で、前年同期比でそれぞれ3.7%、6.6%の減少となった。 同協会によると、上半期の自動車生産、販売は全体的にU字型の動きとなった。つまり、最初の2カ月間は安定的に増加したが、3月中・下旬以降に、一部地域で新型コロナウィルス感染防止策を強化したことで急速に減少。3月から5月までに約100万台の販売損失が生じたものの、6月には回復が鮮明になった格好だ。 ■消費促進策で6月の回復鮮明に 6月の回復の背景には、政府による自動車消費促進策の効果がある。国務院が5月末に発表した景気安定化策(「景気安定化33条」)で自動車消費の拡大を要求。その後当局は、車両購入税の半減、中古車の移転制限の全面撤廃などの消費刺激策を相次いで打ち出した。地方政府が打ち出した消費促進政策も自動車消費に主眼を置いたものとなった。 ■購入減税の恩恵車両は100万台超 6月の車種別の生産・販売台数をみると、乗用車は生産台数が前年同月比比43.6%増の223万9,000台、販売台数は同41.2%増の222万2,000台を記録。国家税務総局が発表したデータによると、乗用車の購入税の半減措置が実施されてから1カ月間、全国で累計71億元の自動車購入税が軽減され、軽減措置の恩恵を受けたのは109万7,000台にのぼったという。 ■NEVの6月の販売は47.6万台でシェア約24%に NEVの生産・販売は6月に過去最高を更新。NEVの全体に占めるシェアは23.8%に達した。うち、純電気自動車の生産、販売台数はそれぞれ46万6,000台、47万6,000台で、ともに前年同月比で120%の増加。プラグインハイブリッド車は、生産、販売台数がそれぞれ12万3,000台、12万台で、同180%増、170%増になっている。燃料電池自動車の生産、販売台数は527万台、455万台で、同18.7%増、67.3%増となった。 1~6月累計ベースのNEVの生産台数は266万1,000台、販売台数は260万台で、ともに前年同期比で120%増加。全体に占めるシェアは21.6だった。 ■政策の恩恵受けにくい商用車は低迷続く 一方、商用車は低迷。6月の生産台数は前年比33.2%減の26万1,000台、販売台数は同37.4%減の28万1,000台に落ち込んだ。中国汽車工業協会は商用車の低迷について、「乗用車と比べて、政策の恩恵を直接受けにくく、全体的に大きな好転は見られない」と説明している。 ■下期も回復傾向継続で、通年は安定成長維持か 中国汽車工業協会は今年下半期の動向について、消費促進策の効果が現れたことに伴い、マクロ経済は成長を維持し、下期には市場の消費信頼感が明らかに回復すると予想。購入税半減政策の効果が続き、乗用車市場の回復の勢いはさらに強まるほか、貨物車市場は底入れして回復するとみる。また、NEVは引き続き高い成長を続け、通年では全体的に安定成長を維持するとの見方を示している。