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中国、地方都市が相次ぎ住宅規制緩和~投機抑制の方針は堅持

中国の地方政府が今年に入り、住宅市場の規制緩和に動いている。ただ、政府は「住宅は住むためのもので、投機のためのものではない」との方針を堅持。実需を喚起する一方、不動産投機による価格の過度の上昇は抑える方針だ。 中国当局は昨年後半、住宅価格高騰を抑える政策をとった。こうした政策を背景に、足元の不動産市場は低迷。国家統計局によると、今年1~3月期の民間分譲住宅販売面積は前年同期比13.8%減、同販売額は22.7%減と、ともに大幅な落ち込みを示した。 景気全体の下振れ圧力も強まっている。1~3月期の国内総生産(GDP)は前年同期比4.8%増。伸び率は政府設定の22年通年目標(5.5%前後)を下回った。さらに、足元では上海市をはじめとする一部都市の防疫措置の強化で経済活動が停滞する中、IMFなどが中国の22年通年のGDP成長率を下方修正している。 ■年初来、80以上の都市が不動産規制を緩和 こうした状況下、不動産規制を緩和する地方政府が相次いでいる。中原地産研究院によると、年初来、不動産規制を緩和したのは80以上の都市に及ぶ。うち、4月だけで30以上の都市が、その都市の状況に応じて不動産政策を調整した。例えば、河北省、山東省、山西省、湖南省などは4月、需要を喚起するため、住宅ローン金利を引き下げている。当面、6月にかけての第2四半期は、緩和的な不動産政策の趨勢は変わらないとの見方が大勢を占める。 不動産規制が緩和される中、中国の官制メディアの一角である「経済日報」は4月20日、「不動産市場の安定が経済の安定における役割を発揮」との記事を掲載した。同記事ではまず、中国の不動産業の経済寄与の大きさに言及。2021年の不動産業の付加価値は7兆7,600万元、建築業は8兆元で、合算するとGDPの約14%を占め、不動産業の規模の大きさ、裾野の広さを挙げている。また、固定資産投資、地方財政収入、金融機関融資に占める不動産の比率が高い点も指摘している。 そのうえで、「安定成長を優先課題に位置付ける背景の下、不動産市場安定のマクロ経済の安定における役割を一段と発揮させるべき」と指摘。実需を満たすとともに、不動産価格の安定、市場予想の安定に努める必要があるとしている。 ■実需を喚起しつつ投機は抑制へ 一方、同記事の最後に、「強調しなければならないのは、不動産市場の安定・回復の促進は、不動産価格の過度の上昇を奨励するものでなく、不動産投機を支援することはできない」と指摘している点は見逃せない。不動産市場は既に価格の過度の上昇から安定した健全な成長段階に移行し、「不動産は住むもので、投機のためのものではない」との方針のボトムラインは死守するとしている。 従来、不動産政策はマクロ経済の主要な調整手段として使われ、景気を下支えする役割も大きかった。しかし、中国政府は「住宅は住むためのもので、投機のためのものではない」との方針を打ち出して以降、「不動産は景気刺激の手段ではない」との方針を幾度となく訴えている。足元の不動産規制の緩和が、投機を誘発せず、実需を喚起することができるのか、その舵取りが注目される。