中国、「工業生産は第2四半期に回復」との予想
中国が新型コロナウイルス防疫措置を大幅に緩和したことで、工業生産の回復に期待が寄せられている。ただし、目下は、各地でのコロナ感染の拡大が経済活動にマイナス影響を及ぼしている状況。今後は2023年第1四半期に経済活動が正常化し、回復軌道に乗るのは同第2四半期になると予想されている。
■1~11月の工業企業の利益、減少率は拡大
足元の工業関連統計は、防疫措置強化のマイナス影響が続いている。国家統計局が12月27日発表した統計によると、1~11月の工業企業の利益は前年同期比で3.6%減少。減少率は1~10月の3.0%から拡大した。コロナ防疫措置の影響や需要不足などを受け、工業生産が鈍化し、企業経営に圧力が強まった格好だ。工業品価格も全体的に伸びが鈍化。企業の販売代金の回収ペースが鈍化し、売掛金が高止まりで推移していることからも、需要の弱さが見て取れる。
企業形態別にみると、国有企業の利益は前年同期比でプラスを維持したが、私営企業と外資企業の利益の減少が続いている。中でも外資(香港、マカオ、台湾企業を含む)企業の利益減少率の拡大が顕著だった。
■目先はコロナ感染増がマイナスも来年第1四半期は経済活動正常化へ
今後については、防疫措置の大幅な緩和で回復が期待されるが、直ちに回復というわけにはいかなそうだ。防疫措置緩和に伴い各地でコロナ感染者が増加しているためだ。
国家衛生健康委員会は、コロナの感染ピークについて「各地で異なる」と指摘。当面はコロナ感染者の拡大は経済活動の圧力になるとみている。百度(バイドゥ)がビッグデータで作成している各地のコロナ感染状況をみると、多くの都市は感染ピーク到達予想が既に50%を超えている状況。他の東アジアの経験をみると、感染者拡大局面では約1~3か月内にピークに達し、その後1~3か月以内に減少。この経験を踏まえると、中国の感染ピークは2023年2月頃になり、同年は第1四半期に経済活動が正常化し、第2四半期には工業生産も回復が鮮明になると予想されている。