中日友好の懸け橋として30年、二胡演奏家の張濱氏
13日、取材を受ける張濱氏。(名古屋=新華社記者/楊光)
【新華社東京11月20日】中国の伝統楽器、二胡(にこ)の演奏家、張濱(チャン・ビン)氏の来日30周年記念コンサートがこのほど、愛知県名古屋市で開かれた。中国の楊嫻(よう・かん)駐名古屋総領事が張氏の長年にわたる取り組みに対し「中日交流の懸け橋となり、両国民の相互理解と友好促進に重要な貢献を果たした」と高く評価した。
13日、来日30周年記念コンサートで二胡を演奏する張濱氏。(名古屋=新華社記者/楊光)
記念コンサートは日本のファンが開催。張氏が来日後30年にわたって二胡の普及活動に取り組み、両国間に友好交流の強固な懸け橋を築いてきた証しでもある。
13日、張濱氏の来日30周年記念コンサートであいさつする中国の楊嫻駐名古屋総領事。(名古屋=新華社記者/楊光)
30年前、日本語を一言も話せなかった張氏は「以心伝心」が可能な二胡の演奏によって日本の人々との交流の扉を開いた。二胡をより良く伝えるため、単に中国の楽曲を演奏するのではなく、日本の人々の心に響く音楽を通じた交流を心掛けた。試行錯誤の末、日本の民謡からポップス、自作の曲まで、張氏が奏でる二胡の音色は次々と感動を呼び、日本の聴衆から「張濱さんが二胡で演奏する日本の名曲『月の砂漠』は、原曲より感動的だ」と言われるまでになった。
13日、来日30周年記念コンサートで二胡を演奏する張濱氏。(名古屋=新華社記者/楊光)
2005年にはCBC(中部日本放送)テレビが二胡の専門番組をスタート。番組は5年続き、張氏はその間、毎週1曲を披露した。同年、張氏は中国と日本の二胡愛好家150人を率いて名古屋市の徳川園で「桜二胡音楽会」を開催。その後、感動的な演奏は「愛・地球博(愛知万博)」の舞台でも披露されたほか、日本の小学5年の音楽副教材に張氏の写真と中国の二胡に関する紹介が掲載された。張氏はこの年、名古屋で「二胡ブーム」を巻き起こしたと言える。
13日、張濱氏の来日30周年記念コンサートであいさつする名古屋市の松雄俊憲副市長。(名古屋=新華社記者/楊光)
名古屋でのブームを受け、張氏は中部地方での普及活動を拡大。愛知、三重、岐阜、静岡各県に計20カ所余りの二胡教室を開き、今では300人を超える生徒を抱える。張氏に10年以上師事する日本人生徒がさらに、普及活動に加わっていった。名古屋で10年以上続ける桜二胡音楽会や七夕コンサートも二胡の魅力を伝える場となっており、張氏の日本でのファンは少なくとも1万人を超える。
13日、張濱氏の来日30周年記念コンサートであいさつする近藤昭一衆議院議員。(名古屋=新華社記者/楊光)
張氏は二胡教室を運営するだけでなく、日本の小中学校での演奏活動も行っている。20年には日本の友人数人と費用を出し合い、名古屋市立愛知小学校に二胡を寄付。同校ではその後、音楽の授業に二胡が用いられるようになった。約半年間の練習で基本的な演奏ができるようになった同校の児童らは、江蘇省の南京市南昌路小学とオンラインで音楽交流会を開催。リアルタイムでの交流が子どもたちの距離を一気に縮め、両校はこれをきっかけに友好校提携を結んだ。
13日、来日30周年記念コンサートで二胡を演奏する張濱氏の日本の生徒。(名古屋=新華社記者/楊光)
中国の二胡を授業に取り入れる小学校は珍しいが、今では愛知小だけでなく、名古屋市立野並小学校でも二胡の授業が行われ、これまでに300人以上が学んでいる。(記者/郭丹、楊光)
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