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中国経済、インフレ、デフレを巡る議論

中国はインフレかデフレかーーを巡る議論が広がっている。中国経済にとってこれまで、長期にわたる懸念事項はインフレだったが、ここにきてデフレを懸念する向きも出ている。一方で、デフレではなく依然としてインフレに警戒すべきと一石を投じる声も上がっている。

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中国経済の10の問題に言及~新華社

中国の今年1~3月期の国内総生産(GDP)をはじめとする経済指標が発表された翌4月19日、新華社は「中国経済の10大問題」と題する文章を掲載した。10の問題は(1)目下の経済情勢(2)防疫措置(3)雇用問題(4)内需(5)貿易、外資の動向(6)インフレ(7)産業・サプライチェーン(8)中小・零細企業(9)不動産市場(10)エネルギー、食糧問題――。このうち、以下では防疫措置、産業・サプライチェーン、中小・零細企業の課題、それに対する当局の方針を簡単に纏める。 ■防疫措置について 防疫措置ではまず、3月以降の新型コロナウィルス感染拡大の状況について「コロナ感染が30省・直轄市に波及し、その中には上海や深圳などGDP規模が大きい都市、吉林などの農業大省が含まれ、景気下押し圧力が徐々に拡大している」と指摘。感染拡大防止措置の強化は「短期的には経済に衝撃となる」と経済へのマイナス影響を認めている。但し、中国の人口14億人のうち60歳以上の人口が2億6,700万人を占めている点を挙げ、「厳格な予防措置を適時に行わなければ、集団感染リスクが高まる」と指摘。長期的な観点から「動態ゼロコロナ」政策を堅持する方針を示した。 ■サプライチェーンの混乱について サプライチェーンの一部混乱については、産業チェーンの安定にとって不確実性を増幅する要因になっていると認めながらも、これは「コロナがもたらしている短期的な衝撃という側面が強い」と指摘。「目下、重要なのは混乱を招いているポイントに焦点を当て、適宜その問題を解消し、短期的な困難が長期的な趨勢に発展するのを避けること」と、サプライチェーンの混乱の長期化を回避する必要性を強調した。同時に、「チェーン」上にある企業をしっかりと守ることが重要であるとしている。 ■中小企業問題について 中小・零細企業については、受注や売上の減少、未払い金の増加、原材料価格の高騰、人件費や輸送コストの上昇などの問題に直面していると指摘。生産が増えても売り上げが増えない、売り上げがあっても利益が出ないという矛盾が鮮明化し、企業の間の格差が拡大し続けているとしている。こうした中小・零細企業の救済においては、経営コスト引き下げのための減税や費用引き下げと同時に、キャッシュフローを増やすための金融支援が必要との認識を示している。

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米中の長期金利が逆転~当面続くも「過度の元安は制御可能」と政府系メディア

米国の長期金利が中国の同金利を上回る金利逆転が起こった。米中の金利逆転は、両国の金融政策の相違から当面続く可能性があるが、中国の政府系メディアは「金利逆転による過度の人民元安リスクは制御可能で、海外への大規模な資金流出は起こらない」との見方を伝えている。 ■逆方向の米中金融政策 金利差逆転の背景には米中の経済サイクルのズレによる金融政策の相違がある。米国ではインフレ率が約40年ぶりの高水準に達し、金融政策は「インフレ抑制」に重点が置かれている。一方、中国は景気下振れ懸念がくすぶる中、「安定成長」に軸足を置いた金融政策となっている。こうした金融政策の相違から4月11日、米国の10年物国債金利は2.76%を付け、同日の中国の10年物国債金利2.75%を上回った。米国の10年物国債金利が中国のそれを上回るのは2010年以来のこととなる。 ■過度の元安は制御可能 米中の金利逆転は元安要因にもなり得る。ただ、中国政府系メディアは「大幅な元安リスクは制御できる」との見方を伝えている。その要因の一つとして、金利差よりも国際収支のほうが人民元相場に与える影響が大きいことを挙げている。目下、経常収支、資本収支の黒字規模が依然として大きいことを鑑みると、急速に元安に進む可能性は低いとみられている。また、◇インフレ要因を加味した米中の実質金利の差が依然として大きいこと、◇外貨、資本規制が依然として存在すること――なども一方的な元安進行を抑える要因として挙げられている。 ■金利逆転現象は当面続くも長期化には懐疑的な見方も 前述のように米中金利逆転は、目先は続くとみられているが、長期的に続くかには懐疑的な見方もある。 まず短期の見通しをみると、米国はインフレ抑制を目的にした利上げ観測の継続が金利の押し上げ要因となる。一方、中国に関しては、足元の新型コロナウイルス感染者拡大を背景に第2四半期の景気の下振れリスクが強まる中、景気下支えのための預金準備率や金利の引き下げの可能性がくすぶっている。米金融引き締め、中国金融緩和という逆方向の金融政策が、金利逆転が続く目先の要因となる。 しかし、その先をみると、米国は量的引き締め(QT)が始まり、景気減速懸念が強まった場合、10年物国債金利は第2四半期末ごろから低下すると予想する向きがある。一方、中国はコロナの状況が改善し、景気下支え策が奏功して景気好転予想が強まれば、10年物国債金利は上昇する可能性がある。つまり、長期的には、米国は景気減速懸念→金利低下、中国は景気改善期待→金利上昇というシナリオとなれば、足元の金利逆転が解消されることになる。 米中の経済サイクルのズレが強まる中、両国の金融政策の舵取りが注目される。