中国の7月の新興メーカーのNEV納車実績、哪吒と零跑が躍進~「蔚小理」を上回る

中国の7月の新興メーカーによる新エネルギー自動車(NEV)納車実績では低価格帯を主力とする哪吒汽車(Neta)と零跑汽車(Leap Motor)が、新興三大勢力と呼ばれる蔚来汽車(NIO)、小鵬汽車(Xpeng Motors)、理想汽車(Li Auto)を上回った。哪吒と零跑の躍進の背景には、農村部でのNEV消費喚起策の実施がある。ただ、政策支援がなくなっても零跑と哪吒が販売好調を維持できるかは未知数とみられている。

■7月納車台数は哪吒、零跑は前月比で増加、「蔚小理」は前月比で減少

新興企業の7月のNEV販売実勢をみると、トップは哪吒で1万4,037台。前月比で6.6%増、前年同月比は133%増となった。2位は零跑で1万2044台。前月比で6.9%増、前年同月比で177%増。2社ともに前月比で増加している。

一方、NIO、小鵬、理想の3社はいずれも前月比で減少している。小鵬は1万1,524台で、前年同月比では43.0%増だったものの、前月比では24.6%減。続いて理想が1万422台で、同21.35増、19.9%減、NIOは1万52台で、同26.7%増、22.4%減となった。

■農村部でのNEV消費喚起策が追い風

哪吒と零跑の販売好調の背景には農村部でのNEV消費喚起策がある。工業情報化部は5月、「2022新エネルギー車の農村部での消費喚起活動実施に関する通知」を発表。同通知は、同活動に参加する企業の農村部でのNEV販売促進を地方政府に求める内容で、参加企業リストには浙江合衆新能源汽车有限公司 (哪吒V、哪吒V Pro)、浙江零跑科技有限公司 (零跑T03、零跑C11)が含まれている。

同通知の発表以降、哪吒、零跑ともに低価格帯の車種の販売が急速に伸びている。7月の車種別の実績が出ていないため、6月の納車実績をみると、哪吒の6月の納車台数は1万3,133台で、前年同月比155.6%増加。うち、6割が「哪吒V」の販売で、「哪吒V」の販売価格は7万9,900~12万3,800元という水準だ。一方、販売価格帯が12万3,800~20万1,800元の「哪吒U」モデルの納車台数は5,070台にとどまった。

零跑の6月の納車台数は1万1259台で前年同月比186%増。うち販売の主力は「零跑T03」で、販売価格は7万9,500~9万6,500元となっている。一方、販売価格帯が17万9,800-22万9,800元の「零跑11」は、販売に占める比率が低水準にとどまる。

一方、「蔚小理」の平均価格は、調査会社の傑蘭路諮詢によると、NIOが41万3,800元、理想汽車が33万3,600元。ミドルエンドやローエンド車種が多い小鵬汽車でも23万6,900元という水準で、哪吒、零跑の価格水準の低さが際立っている。

■品質、ブランド力の向上が課題

ただ、哪吒、零跑ともに政策支援がなくなった後も販売好調を維持できるかは未知数だ。足元ではNIOがミドル・ローエンド市場をカバーすべく、20万元以下の第3ブランドを投入する計画と伝えられる。

かつて「廉価車」とのレッテルを張られた比亜迪(BYD)は2021年の自動車販売台数が73万台、うちNEVが59万台に達した。同年の平均販売単価は15万3,200元で、ドイツのフォルクス・ワーゲンを上回った。主力の「漢」モデルは、販売単価、販売台数ともに「25万+」となり、「廉価車」のレッテルが剥がれつつある。

BYDの躍進を支えた一つは技術進化にある。哪吒、零跑がNIOや小鵬、理想などがローエンド市場に参入した際にも、同じ土俵で戦うことができるのか、品質とともにブランド力を向上できるのかがカギになるといえそうだ。

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