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伊藤潤二さんの『死びとの恋わずらい』が米アイズナー賞「最優秀アジア作品賞」受賞! 日本人作家としては手塚治虫さんに続く最多受賞

2022年7月23日(日本時間)にアメリカで開催された、もっとも権威ある漫画賞のひとつ「第34回ウィル・アイズナー コミック・インダストリー・アワード」(The Will Eisner Comic Industry Awards、以下アイズナー賞)で『伊藤潤二傑作集4 死びとの恋わずらい』(朝日新聞出版刊)の英語版が、「最優秀アジア作品賞(Best U.S. Edition of International Material—Asia)」を受賞いたしました。 これまで伊藤潤二作品のアイズナー賞受賞歴は、2019年に英語版『伊藤潤二傑作集10 フランケンシュタイン』が「最優秀コミカライズ(漫画化)作品賞」を、2021年には英語版『地獄星レミナ』が「最優秀アジア作品賞」を、英語版『伊藤潤二短編集 BEST OF BEST』が「Best Writer/Artist部門」をそれぞれ受賞。今回で4度目の受賞という快挙を達成しました。 これは、手塚治虫さんの5回受賞(Hall of Fameを含む)に次いで、大友克洋さんの4回受賞(Hall of Fameを含む)と並ぶ受賞数となります。 【『死びとの恋わずらい』あらすじ】幼少期に住んでいた町に越してきた少年。霧深いことで有名だったその町では、霧がかる四辻で出会った人に占ってもらうという「辻占」が少女たちの間で流行していた。そんな彼女たちの目当てはひとつ。謎の黒服の美少年、「四辻の美少年」に「辻占」をしてもらうことだった。だが、彼は冷酷なお告げしかしない。呪いのようなお告げに取り憑かれた少女たちは狂い、次々に異常な死を遂げるのだった。 【伊藤潤二氏 受賞コメント】この度、英語版『死びとの恋わずらい』(VIZ Media刊)にアイズナー賞を授かりました。2019年、2021年に続いての受賞に、これは夢か現かと驚いております。 しかし、これもVIZ Media様から出版していただいている一連の翻訳版の素晴らしい翻訳と装丁が、作品の価値を押し上げてくださっている結果だと思います。 『死びとの恋わずらい』は今から26年前に描いた作品です。この作品のテーマは「悩み」でした。「悩み」を具現化したような霧深い町を舞台に、この町の古くからの風習である「辻占」が起因となる事件を描きました。「辻占」は万葉集にも登場する占いの一種で、夕刻に辻に立って通行人の会話を傍から聞き、その内容から吉凶を占うというものでしたが、私は悩める人があえて通行人に直接悩みを打ち明けて、指南を乞う、という形に変えました。キーマンとして現れる謎の黒服の美少年に対して、悩み多き少女たちが理性を失うさまは、ビートルズなどのスターに熱狂する少女をイメージしました。 この作品は、当時デビューからお世話になっていた雑誌「月刊ハロウィン」が休刊となった後に、その増刊として独立した「ネムキ」誌上において心機一転、渾身の精力を注いで取り組んだ連作でした。気力体力ともに充実していた頃の作品で、私自身今も強い思い入れがあり、とても大切にしている作品です。 本作にこのような栄誉を与えてくださったアイズナー賞の選考委員の皆様に心からお礼申し上げます。そして、いつもお世話になっているVIZ Media様、朝日新聞出版様、加えていつも応援してくださっている読者の皆様に、心から感謝申し上げます。 2022年7月 伊藤潤二 【伊藤潤二氏略歴】1963年7月31日、岐阜県中津川市生まれ。高校を卒業後、歯科技工士学校に進み歯科技工士となるが、1986年に朝日ソノラマの少女向けホラー雑誌「月刊ハロウィン」に創設された新人漫画賞「楳図賞」に『富江』を応募、佳作入選した事をきっかけに漫画家デビュー。歯科技工士として働きながら、同誌に作品を発表する生活が続いたが、3年後に専業漫画家となる。以後『富江』シリーズ、『双一』シリーズ、『道のない街』、『首吊り気球』、『死びとの恋わずらい』などの作品を執筆し、現在に至る。 <日本版 書誌情報>『伊藤潤二傑作集4 死びとの恋わずらい(ASAHI...