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ファーウェイ、アナリストサミット開催~経営陣がチップ問題など最新動向に言及

ファーウェイ(HUAWEI)の第19回グローバル・アナリスト・サミット(HAS2022)が深セン市で4月26日に開幕した。中国メディアによると、同日は、ファーウェイの輪番董事長である胡厚崑氏や常務董事の汪涛氏らが登壇。チップ供給などの問題や自動車などの新規事業などの最新動向に言及した。 ■厳しい経営環境、「生き残りのために質向上が重要」 まず目下の経営環境について、胡厚崑氏は厳しさが増していると指摘。その一つが米中対立のあおりを受け、チップの入手が困難になったことで、チップ不足を背景に携帯電話事業が低迷している。加えて、足元では新型コロナウィルス流行やインフレ圧力なども経営環境の悪化に拍車を掛ける中、胡厚崑氏は「今年は生き残るのが先決で、生き残りのためには質を高めることが重要」と述べている。 生き残るための質向上に向けた取り組みとしては、(1)製品およびソリューションの品質を保証し、製品競争力を維持すること(2)取引の品質管理をしっかり行うなどで安定した運営を示すこと(3)将来に向けた人材に資金を投入すること――が必要との考えを示した。 ■今年も「天才少年プロジェクト」 (3)に絡んだ研究開発投資について胡厚崑氏は、経営環境が厳しいここ数年も拡大している点を強調している。例えば、2021年の研究開発費は1,427億元。同年の売上高に対する比率は22.4%で、過去の研究開発費の対売上高比率(約10%)を大きく上回っている点のほか、同年の研究開発人員が10万7,000人と全体の54.8%を占めている点を挙げている。 今後も人材への資金投入は緩めない方針で、4月25日には今年の「天才少年プロジェクト」を発表している。「天才少年プロジェクト」は、世界から高い年俸で優秀人材を募るもので、その年俸の高さに注目が集まるが、胡厚崑氏は、国籍、専門を問わず世界レベルの人材を誘致することは「科学、技術の進歩を推し進めるもの」と述べている。 ■携帯電話事業の低迷で端末事業を再考 胡厚崑氏はまた携帯電話事業の低迷について、「端末のレイヤーの業務の成長について再考する契機になった」と指摘。先端部品が入手できない状況下、「端末事業が、如何に消費者により大きな価値をもたらすかを改めて考える機会になった」という。そもそも端末は「携帯電話だけではない」とし、「ユーザーが、多くの電子機器に囲まれるようになった時、必要なのはより多くの端末ではなく、よりスマートな体験。つまり人を中心にし、人がどこででもスマート化の体験できること」こそが端末事業で、スマート体験の提供が「ファーウェイの端末事業のイノベーションの焦点でもある」と訴えた。 胡厚崑氏のこの発言に先だった4月20日、ファーウェイは「コンシューマー事業」を「端末事業」に名称を変更すると発表した。従来「コンシューマー事業」は個人向けスマホが中心だったのに対し、「端末事業」はコンシューマー製品と法人向け製品の2大分野を全面的にカバー。コンシューマー製品は個人、法人向け製品は政府や企業がターゲットとなる。名称変更により、ファーウェイは法人向け端末事業に本格参入することになり、胡厚崑氏は「多様な端末、クラウドサービス、多くの協力パートナーと構築するエコシステムを通じて、スマートオフィス、スポーツ・ヘルスケア、映像・音声・娯楽、スマートホーム、スマート交通などの様々なシーンでユーザーに新たな体験を提供していく」との方針を示した。 ■チップ問題は世界のサプライチェーン問題の解決が必要、自前工場の建設はなし ファーウェイにとっての脅威の一つとなっているチップ不足問題を巡っては、胡厚崑氏は自前のチップ工場の建設はないと改めて強調した。そもそも、チップ不足はコロナ流行や地政学リスクの高まりを背景にした産業チェーンの混乱が招いたもので、「半導体の産業チェーンは非常に長く、チップ問題を解決できるのは、世界で統一されたサプライチェーンのみ」(汪涛氏)。ファーウェイが自前で工場をつくっても根本的な問題の解決にはつながらず、「産業チェーンが完備されれば、ファーウェイの問題も解決される」(同)という。 ■スマートカー、「良い車をつくるサポート」が主軸 スマートカー分野については、胡厚崑氏は「自動車業界全体が転換点に差し掛かり、今後はデジタル技術が自動車業界転換のカギになる」との認識の下、「ファーウェイの位置づけは、車をつくるのではなく、良い車をつくる助けをすること」という。ファーウェイは昨年来、自動車メーカーなどと提携し、現在300社以上のパートナーと協力関係にあり、スマートカーのソリューションやハード部品を提供。胡厚崑氏は、「今年は新たなスマートカーを発表する予定」と明らかにしている。