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拡大続く中国のロボット産業~自主ブランドのシェア拡大も課題は残る

中国工業・情報化部は、このほど実施した「ハイエンド設備製造業の発展」をテーマとした記者会見で、中国のロボット産業の足下の動向について説明した。それによると、ロボットの生産・販売台数は増勢を辿り、国内の自主ブランドのシェアも拡大。ただ、中核部品の供給不足などの脆弱性も残る。同時に、ロボットの応用分野を拡大し、ロボット活用による労働力不足の解消や効率化を進められるかが課題となっている。 ■中国のロボット産業の概要 中国のロボット市場は拡大を続けている。2021年の中国のロボット業界全体の売上高は1,300億元超となった。うち、産業用ロボットの生産台数は前年比67.9%増の36万6,000台に拡大。2015年の10倍に増加し、世界トップの産業用ロボット生産国の地位を維持している。 産業用ロボットの応用先も増えている。かつては携帯電話や自動車業界でロボットが使われることが多かったが、最近は新エネルギー、サービス業、農業分野でなどでのロボットの活用も増えている。また、大企業だけでなく中小企業での応用も増え、2021年の中国のロボット密度(従業員1万人当たりのロボット稼働台数)は300台超に達し、12年の約13倍となっている。 サービスロボット市場も拡大。21年のサービスロボットの生産台数は前年比48.9%増の921万4,000台に伸びている。サービスロボットは飲食、教育、医療、物流などの分野で広く活用されている。例えば、フード・デリバリーの美団は自動配送車と配送ドローンを活用し、自動配送を実現している。また、特殊ロボット、宇宙ロボット、深海ロボット、手術ロボットなど複雑な製品も投入が増えている。 ■国産品のシェア拡大 中国の国産品のシェアも伸長している。中国機械工業連合会ロボット分会(中国ロボット産業連盟)と国際ロボット連合会の統計によると、21年の中国の産業用ロボット販売台数は前年比50.1%増の27万1,000台。伸び率は前年を30.1ポイント上回った。うち、外資ブランドは前年比49.7%増の18万4,000台。国内自主ブランドは同50.8%増の8万7,000台で、伸び率は外資ブランドを上回り、自主ブランドロボットのシェアは32%と、前年から拡大した。 自主ブランドのロボットの応用分野は、電気・電子機器・機材製造、自動車製造、金属加工業界でシェアを伸ばしている。一方、食品製造、プラスチック・化学用品製造業界でのシェアは縮小した。 ■今後の課題 国内のロボット産業は成長が続くが、まだ道半ばとの指摘は少なくない。ある専門家は「国内のロボット産業は専用チップ以外、基本的にはそろってきたが、業界全体の発展には、チップなどの中核部品の海外依存脱却や精緻さなどの面での課題が残っている」と指摘する。特に、ロボットは電気と機械が強く結合する製品で、個々の技術のブレークスルーが機械全体の性能向上に寄与するのは限定的とされている。つまり、一つ一つのパーツの技術だけでなく、それらを組み合わせてロボットの性能を高めるロボットの設計、構造、運動制御などの技術が重要となる。 こうした中、ロボット全体の性能を高めるべく部品からソフトウェアなどを含む産業チェーン全体が共同で技術革新に取り組む必要性が訴えられている。同時に、デジタル化、スマート化などを通じた産業の高度化が推進される中、工業・情報化部はロボットの活用分野の拡大を奨励する方針を示している。国内のロボット産業の競争力を強化すると同時に、ロボットの活用拡大で産業の高度化、さらには労働力不足など社会的課題の解決につなげる取り組みが求められている。