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中国のNEV新興3社、21年決算出揃う~納入台数は小鵬が最多も、売上高はNIO依然優勢

中国の新エネルギー(NEV)自動車、蔚来汽車(NIO)、小鵬汽車、理想汽車の2021年12月期の決算が出揃った。3社はそれぞれの頭文字をとって「蔚小理」と呼ばれるNEVの新興3大企業。各社の21年の納車数は10万台に迫っている。一方、赤字は継続し、増収も赤字は継続という趨勢は同じだ。ただ、各社の戦略の相違から業績も異なる特徴がみられる。 ■21年の納入台数:小鵬>NIO>理想 3社の過去の納入台数を振り返ると、最初に1万台を突破したのはNIO。NIOは20年まで納入台数でトップの地位を占め、他の2社を引き離していた。しかし、21年は小鵬、理想ともに納入台数が大幅に伸び、各社の納入台数は3社いずれも10万台に迫った。 21年の各社の納入台数をみると、NIOが9万1400台(20年の4万2700台に比べて109%増)、小鵬が9万8200台(同2万7000台に比べて263%増)、理想が9万500台(同3万2600台に比べて177%増)と、小鵬がトップに躍り出た。その小鵬の月次ベースの納入台数は、21年10月から22年1月まで4カ月続けて1万台を上回って推移している。 但し、22年も小鵬がトップの座を維持できるかは不透明。NIOは ET7、ET5、ES7の引き渡しが始まるためで、NIOの納入台数は大幅に増加すると見込まれている。 ■21年の売上高:NIO>理想>小鵬 納車の増加に伴い売上高も大幅に伸びている。各社の売上高は、NIOが前年比122%増の361億1000万人民元、小鵬が同259%増の209億9000万人民元、理想が185%増の270億1000万人民元に拡大している。 小鵬は納入台数でトップとなったものの、売上高の水準は最も低い。これは、自動車の平均価格が安いためだ。公式情報によると、NIOの平均販売価格は43万人民元、理想は33万8000人民元。対して、小鵬の平均販売価格は21万2000人民元となっている。 ただ、小鵬は今後も大きく価格を変える方針はないもよう。実際、同社の何小鵬・董事長は中国メディアに対して今後の価格設定について、「市場全体の状况に応じて主力の価格帯を調整するが、現時点で15万以下にすることも、より高級ブランドにすることも考えていない」と述べている。 ■21年の完成車粗利率:蔚来と理想は拮抗、小鵬は最も低く 21年の完成車粗利益率をみると、NIOが前年の12.7→20.1%、小鵬が同3.5→11.5%、理想が同16.4→20.6%。いずれも改善しているが、水準はNIOと理想が拮抗しているのに対し、小鵬はこの2社を大きく下回る。 NIOは平均販売価格の高さに加え、コストパフォーマンスが高いリチウム電池に切り替えたことが粗利益率の改善に寄与。理想は、投入している車種がONEのみで、「単品」戦略によるスケールメリットがコスト削減につながっている。一方、小鵬は粗利益率にも価格の安さが影響し、他の2社を下回っている。 ■21年純損益:理想>NIO>小鵬 各社いずれも粗損益ベースでは黒字となっているが、純損益ベースでは依然として赤字が続く。これは、研究開発費や販売管理費などの費用がかさんでいるため。21年の赤字額をみると、NIOが20年の53億→40億1600万人民元に縮小、小鵬は同27億3200万人民元→48億6300万人民元、理想は1億5100万人民元→3億2150人民元にそれぞれ拡大した。 理想は赤字幅が拡大したとはいえ、赤字額は最も低い水準となっている。また、四半期ベースでみると、21年10~12月期に2億9500万人民元の黒字に転換。理想の経営効率の高さが反映されている格好だ。 ■21年研究開発費:蔚来>小鵬>理想 21年の研究開発費をみると、NIOが84.6%増の45億9200万人民元、小鵬が138%増の41億1000万人民元、理想が198%増の32億9000万人民元となっている。特に、小鵬と理想は2倍以上の伸びで、中でも小鵬は19~20年の2年間の合計を上回ったという。 ■生産能力増強の動向 各社いずれも今後、販売の一段の拡大を目指す中、生産能力の拡充に努めている。 小鵬:肇慶+広州+武漢工場 小鵬の「G3」はこれまで鄭州海馬工場が代理生産してきたが、代理生産契約は21年12月に終了。委託代理生産からから自社生産に切り替えた。 自社工場の状況は、広東省の肇慶工場はすでに「P7」、「G3i」、「P5」の3車種を生産。また、肇慶工場では第2期拡張プロジェクトが始まっており、22年上半期には生産能力が現在の10万台から20万台に増強される計画だ。 さらに、広州工場は22年第3四半期に正式に生産が開始される予定で、年産能力は10万台を見込んでいる。建設中の武漢工場の年産能力も10万台で、23年に稼働する計画。こうした新工場の稼働を踏まえると、自社年産能力は23年に40万台に達する見通しだ。 NIO:江淮汽車委託工場+合肥自社工場 NEOは主に、江淮汽車合肥の委託工場で生産。NIOは江淮汽車と2016年4月に「製造協力枠組み協定」を締結し、江淮汽車はNIO向けに単独工場を建設し、生産ラインを設立し、生産を請け負っている。当該協定の有効期間は5年で、21年5月に協定を更新。24年5月まで江淮汽車がES8、ES6、EC6、ET7などのNIOの車種の生産を続ける。年間生産能力は24万台に拡大される計画だ。 江淮汽車工場のほか、NIOは自社の拠点として、合肥市政府とNeoParkスマート電気自動車産業パークを建設中。パークの完成車生産能力は年間100万台、電池生産能力は年間100GWh/年を計画している。 理想:常州+北京+重慶工場 理想汽車は2018年に重慶力帆汽車有限公司を6億5000万人民元で買収し、新エネルギー完成車の生産ライセンスを得た。その後、江蘇省の常州工場が中核工場の役割を果たし、第1期の年間生産能力は10万台となっている。現在は、常州工場第2期の拡張に着手しており、22年末までに常州工場の年間生産能力は20万台に引き上げられる計画だ。 また、北京にも生産拠点を建設している。北京では21年10月に北京現代第一工場を譲受し、北京グリーンスマート生産拠点を建設。同生産拠点は23年9月に稼働する予定で、第1期の年間生産能力は10万台を見込んでいる。さらに、重慶市両江新区に同社3カ所目の工場を建設しており、23年末までには年間生産能力を50万台にするとの目標を打ち出している。